4月22日、慶應義塾大学は三田キャンパスにて、駐日デンマーク王国大使館とシンポジウム「Danish digitalization & ethical data use」を共催しました。
本シンポジウムには、デンマークからマリーェ・ビャーデジタル政府・男女平等大臣、ピーター タクソ-イェンセン駐日デンマーク王国大使ならびに同国の企業関係者、日本からは河野太郎デジタル大臣、武内和久北九州市長、本学からは伊藤公平塾長と土屋大洋常任理事が登壇しました。参加者は教職員、学生など総勢約80名に上りました。
ビャー大臣・河野大臣・伊藤塾長は、「Innovation through ethical use of data & AI」をテーマにパネル討論を行いました。ビャー大臣は、データをAIによるサービスを使って倫理的かつ責任ある方法で活用するためのデジタルリテラシーの重要性について述べました。また、デンマークにおける労働力人口減少の代替策としてのデジタル化推進策と、エネルギー問題の解決策としての効率的なグリーントランジションへの取り組みを紹介しました。河野大臣からは、生成AIが英語によるデータを圧倒的に多く使用している現状を踏まえ、英語以外の言語によるデータ蓄積の必要性について問題提起がありました。さらに伊藤塾長は、生成AIに踊らされず、これを使いこなしていく人材を企業や大学が密に連携して育成することが肝要だと指摘しました。
シンポジウム後半ではデンマークの各企業のCEOらが登壇し、最先端のデジタル技術を用いて開発したサービスの導入事例を紹介しました。北九州市の武内市長は、デンマーク企業が手掛ける窓口オンライン業務サービスの導入により実現した「スマらく区役所サービスプロジェクト」による取り組みと、その成果を共有しました。
会場の参加者との活発な質疑が行われた後、土屋常任理事は生成AIを始めAI技術を用いたデータの倫理的使用には課題も多いが、幸福な未来社会の実現のためには、責任あるAIの活用が戦略的に重要であることを再確認したとシンポジウムを締めくくりました。