7月8日(土)、三田キャンパス北館ホールにて、2023年度の小泉信三記念講座として、渡辺茂慶應義塾大学名誉教授による講演「動物から考えた美と道徳の起源」が行われました。 渡辺名誉教授は、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程を経て、文学博士(心理学)を取得し、同大学文学部助手、助教授、教授を務め、1995年「イグ・ノーベル賞」、1997年「日本心理学会・国際特別賞」、2020年「山階芳麿記念鳥類学賞」などの栄誉ある賞を受賞しています。
講演では、美の判断と道徳の判断については似たところがあり、どちらも素早く判断できること、そして人間固有のものだと考えられていることに触れ、人間以外の動物の美的判断や道徳判断に類似した行動を説明しました。また、近年動物たちにも「共感」が見られることが分かり、「道徳の起源」としての共感について解説しました。自分と他者を比較することから生じる不公平嫌悪、社会的相対比較は必ずしも合理的でない行動を生み出すことにも触れました。最後には人間の「不合理な行動の起源」について参加者も考える大変貴重な機会となりました。
参加者は皆熱心に聴講し、質疑応答も含めた活発な講演会となりました。
小泉信三記念講座について:
https://www.research.keio.ac.jp/internal/int/index.html#contents12