11月16日(水)、芝共立キャンパス1号館B1階中講堂にて、2022年度の小泉信三記念講座として、福島大吉氏による講演「プロスタグランジンから学んだこと」が行われました。
福島氏は、筑波大学にて理学博士を取得後、Chicago大学での博士研究員を経て、小野薬品工業(株)にて創薬研究及び経営に従事されました。また、公益財団法人小野医学研究財団において長年理事長を務められました。
講演では、プロスタグランジンという生理活性脂質を巡る一企業の採ってきた研究開発の歴史を振り返りながら、経験の深化と統合から新しい仮説や価値を生み出すプロセスの重要性を語られました。また、科学技術革新から発見、創薬へとつながる研究プロセスの中で、アカデミアとの連携、オープンイノベーションの重要性について、脂質メディエーター創薬や、がん免疫チェックポイント創薬などの具体例を挙げられ、新しい価値の創造に至るリアルな現場感覚あふれるお話をいただきました。日本の企業は改良型の方策には秀でているが、一方でイノベーションを起こすような新規テーマには躊躇しているという意見がある中で、これまでの製薬企業での経験から記憶に値する事例を単純化・抽象化することで、次世代に向けたレガシーの伝承、および創薬イノベーションの将来像の提起を試みられた本講演は、薬学関係者のみならず幅広い分野に対して大変示唆に富む、深みのある内容でした。
参加者は皆熱心に聴講し、質疑応答も含めた活発な講演会となりました。