7月19日、日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールにて、理工学部創立80年・藤原銀次郎翁生誕150周年記念イベントおよび慶應アーキテクチャプロジェクトの一環として、建築家の槇文彦氏と谷口吉生氏による対談「慶應建築の系譜」が行われました。また、この対談は、理工学部・理工学研究科で昨年度より国内外から著名な方々をお招きして開催している講演会「Keio Science & Technology Distinguished Lecture Series」として第3回目にあたります。
槇文彦氏は、慶應義塾の図書館新館や日吉図書館、湘南藤沢キャンパスの設計を手掛け、谷口吉生氏は、幼稚舎の新体育館や湘南藤沢中・高等部の校舎を設計するなど、ともに慶應義塾にとってゆかりの深い建築家です。
岡田英史理工学部長の挨拶、小林博人政策・メディア研究科教授による概要説明の後、槇氏は自身の生い立ち、幼少時代のモダニズム建築との邂逅や谷口氏の父である谷口吉郎氏との出会いについて語り、続いて谷口氏は父・吉郎氏の建築や槇家との関わりについて思い出を語りました。谷口氏の父・吉郎氏は、ホテルオークラの旧本館ロビー等を手掛けたことで知られ、慶應義塾においては、戦前の幼稚舎校舎や日吉寄宿舎の設計のほか、戦災で荒廃した義塾の戦後の再建を担い、三田キャンパスの学生ホールや第二研究室(新萬来舎/ノグチ・ルーム)、信濃町の大学病院病棟ほか、多くを設計しています。
親子二代にわたり長く交流がある両氏は、自身らの建築作品や学生時代のエピソード、また、慶應義塾との関わりについて、時折冗談も織り交ぜつつ、和やかに対談を行いました。
槇氏と谷口氏の対談を聞ける貴重な機会に、当日は建築を学ぶ学生や研究者をはじめとする多くの方が会場に訪れ、熱心に耳を傾けていました。
なお、本対談の講演録は慶應義塾機関誌『三田評論』に後日掲載予定です。