11月26日(火)、三田演説館にて、慶應義塾の伝統行事である三田演説会が開催されました。第709回となる今回は、「子どもを育む遺伝の力、環境の力」というテーマで、慶應義塾大学医学部小児科学教室の高橋孝雄教授が講演を行いました。
高橋教授は冒頭で、演題にもなっている遺伝と環境の力について説明し、遺伝とは遺伝子によって綿密に計画されたシナリオで、変わらないことによって我々を守るものであり、一方環境とは、さまざまな実体験を経ることで遺伝的要素にも強い影響を与えるもので、いずれも人間の成長と発達に不可欠であると語りました。また、実際にあった症例や、それらに伴う数々のエピソードも披露しました。
講演の最後には、小児科医、そしてすべての大人が目指すべき姿についての思いを語り、また、現在子育てをしている人たちに向けて、満点の育児は存在せず、多様な経験が今後の育児に役立つ、というメッセージを送りました。
会場には義塾の学生、教職員、小さな子ども連れの方など多くの聴講者が訪れ、満席となりました。高橋教授の丁寧かつユーモア溢れる話しぶりで、会場は終始柔らかい雰囲気に包まれ、質疑応答でも、子どもや育児に関するさまざまな質問の1つ1つに、真摯に答えていました。