10月14日、三田キャンパスにおいて、WHO(世界保健機関)、文部科学省、厚生労働省の後援を得て、慶應義塾大学とAPRU(環太平洋大学協会)との共催で、第10回APRU Population Aging Conference (人口高齢化国際会議)が開催されました。環太平洋地域をはじめとする国内外の大学などから100名を超える参加者が集いました。
本会議は、当初2日間開催の予定でしたが、週末に上陸した超大型台風19号の影響で1日開催となり、若手研究者による口頭発表とポスター発表、基調講演、西太平洋地域(フィジー共和国、仏領ニューカレドニア、マーシャル諸島共和国)の保健大臣等とのパネルディスカッションを中心としたプログラムが実施されました。
2025年までに65歳以上が全人口の約30%を占め、世界で最も早く高齢化が進む日本と同様、他の多くの国々、特に太平洋アジア地域でも、そう遠くない将来に高齢化社会が到来することから、大波を高齢化、それにあらがう小舟を日本に見立てて、本会議のイメージとして、ウェブサイトや会場内の装飾に葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」を採用しました。日本の関係機関は高齢化に対しすでにさまざまな対策を講じていますが、中でも大学は、APRUが標榜しているとおり学術的な知見やイノベーションに関する提言を行う役割を担うことから、持続可能な超高齢化社会を実現するために必要な存在です。当日の会議では、高齢化に関する医学、経済学、心理学など多様な分野の最新の研究成果や示唆に富む事例が紹介され、参加者の間で共有されました。
政治指導者との対話と題したパネルディスカッションでは、観客席の学生から、高齢化社会にも割合が減るとはいえ若者は存在するが、現状、政策決定の場に若者が少ないのでは、との発言がありました。事実、高齢化をめぐる議論や課題は、高齢者だけでなく若い世代のものでもあります。持続可能な高齢化社会を実現するためには、大学における分野横断研究を引き続き推進するとともに、大波も台風も乗り越える力をつけて、当事者である高齢者と、若い世代、すなわち、未来の高齢化社会のリーダーを交えた議論を続けていくことの重要性をあらためて認識する場となりました。
最後に、インドネシア大学の代表が、次回2020年の第11回APRU Population Aging Conferenceを主催することを発表し、会議は幕を下ろしました。
プログラム
https://www.keio.ac.jp/en/about/global/20191013_aging_conference_program.pdf