4月18日(火)、先端農業プロジェクト事業における連携・協力に関する基本協定書を静岡県との間で取り交わす締結式が千代田区平河町にある都道府県会館で開催されました。
慶應義塾では、これまでも農業の「匠の技」の継承や高度化を支援するAI(アグリ・インフォマティクス)農業(*)等の農業ICT分野における研究成果の実証展開事業として、静岡県の三ケ日地域の柑橘栽培や伊豆の国市のイチゴ栽培等に取り組み、成果をあげてきました。今回の基本協定締結は、この協力関係をさらに発展させる事を目的とするもので、慶應義塾はAI、IoT、ゲノム、ビッグデータ、環境制御などの研究テーマを通じ、企業や研究機関等との共同研究、研究成果の社会実装、研究教育等の人材育成、農業版オープンイノベーションプラットフォームの運営などについて連携することになります。
締結式では、静岡県の川勝知事から、プロジェクトにおける慶應義塾への期待が述べられ、清家塾長からは、AIやICTのノウハウを活用し、農業の担い手育成や、研究成果を社会へ還元する研究推進により、「農、食、健康を総合して好循環を生むイノベーションプラットフォームになる」との期待を述べました。また、かつて幼稚舎生が戦時中に伊豆修善寺に学童疎開をしていたことや、慶應義塾の大学部草創期の1899年に大学部卒業生として欧米へ派遣され、義塾の研究・教育の向上に大きく貢献した神戸寅次郎、気賀勘重が静岡県出身であったことなど、古くからの関連性についてのエピソードも披露されました。
引き続いて、理化学研究所やアグリオープンイノベーション機構も交えて意見交換会が行われ、静岡県が設置する連携活動の拠点となるAOI-PARC(アオイパーク)を活用して、研究教育活動の展開実現を推進することが確認されました。
(※)今後急速に失われていく可能性のある篤農家の「匠の技」(暗黙知)を、ICT技術を用いて「形式知」化し、他の農業者や新規参入者等に継承していく新しい農業。