-現在は、さまざまな用途の素材開発を手がけていますね?
関山:はい、タンパク質を素材として使いこなせるようになれば他にもさまざまなものに活用できるため、実際の製品の発売をきっかけに多くの企業や研究所とのアライアンスが進み、企業としてできることが大きく広がってきています。現在はクルマのドア素材やメディカル分野の素材、また人工肉などフード分野での研究開発も進めています。まずはアパレル・輸送機器分野での開発が主軸となりますが、長期的には人の生命と健康に関わるメディカルとフード分野での素材・製品開発にも力を入れていきたいと考えています。さらに、サステナブルな社会と人間のウェルビーイングを目指すビジネスを、他の企業との連携によって生産からリサイクルまで一貫した新しい産業のエコシステム・デザインとして世の中に広めていきたいという夢があります。
-関山さんにとって鶴岡とはどのような土地ですか?
関山:気がつけば人生の半分以上を鶴岡で過ごしています。大人になってからの人間関係はほとんどこちらに来てから築かれたものですし、こちらで家庭も持ちました。とても住み心地の良い土地で、海も山も近く、お米、野菜、魚など地元の食材はみんなおいしい。こうした環境は子育てにも最高だと思っています。
現在も公私ともにお世話になっている冨田先生率いるIABからは、この20年の間に「スパイバー」をはじめ多くのシーズが育ちました。次の20年はそうしたシーズを大樹、すなわち大きな新産業として育てていくフェーズではないかと考えています。今や世界のバイオサイエンスを先導する存在であるIABには、そのための環境が十分整っています。
-最後に塾生へのメッセージをお願いします。
関山:私が冨田先生にお世話になったように、先生やご両親は皆さんのことを親身に考えてくれるでしょう。しかし、最終的に幸せをつかみ取るのは自分自身です。周囲の声にあまり振り回されず、自分がどのような人生を送りたいか、自分にとっての幸せとは何かをとことん考えてほしいです。大学時代はそういうことを考える時間がたっぷりあるのですから。
-本日はありがとうございました。