- そのほかの学生時代の思い出を教えてください。
米良君:いま思えば、寝る間を惜しむように動き回っていました。もちろんゼミがらみの活動がいちばん多いのですが、三田祭実行委員として田原総一朗さんの講演をセッティングしたこともあります。三田祭実行委員会は、私にはそれまで経験のなかった上下関係が明確な組織で、そこで初めて縦社会を知り、勉強になりました。おそらく私は慶應義塾をある種のプラットフォームとして使っていたのだと思います。多様性を持つ多くの人たちと出会い、その出会いから何かが生まれることを楽しんでいました。義塾には、そんな塾生の行動を応援してくれ、押し上げてくれる空気があります。例えば、ダボス会議参加の時期が修士論文の提出と重なりとても大変だったのですが、周囲の先生や友人たちに支えられ、乗り切ることができました。学生の思いを尊重してくれるところも義塾の良さだと思います。
- 最後に、塾生へのメッセージをお願いします。
米良君:現代社会はテクノロジーだけでなく、働き方を含めてあらゆることの変化が速く、同じ状況が10年、20年続くと約束される社会ではなくなっています。それゆえに、個人の適応力、サバイバル能力が求められます。塾生の皆さんには、こんなに多様な出会いがあり、先輩の塾員も含めて大学として最高のネットワークを持っている義塾の価値を存分に活用してほしい。授業で学ぶことはもちろん大切ですが、自分で生きていくための能力や社会に貢献するための仕事力は、教室にいるだけでは養えません。常にアンテナを立てて、自分が何をしたいのか、それにはどんな能力が必要でどうすれば獲得できるのかを考え、キャンパスの至るところに転がっているチャンスの芽を、積極的につかみにいってほしいと思います。