-入部のきっかけ、日々の練習について教えてください。
尾留川:僕は秋田の高校出身なのですが、町に川があって学校自体もボートが盛んな環境だったため、興味を持って始めたのがきっかけです。当初は、単純な動きを繰り返すスポーツなのでそんなに難しそうなイメージはなかったのですが、実際にやってみると思った以上に奥が深くて、シンプルな動きの奥に難しさが潜んでいると日々痛感しています。慶應義塾の端艇部には違うスポーツから飛び込んでくる人も多いのですが、ボートは多くのスポーツと異なり脚が固定されるため、最初のうちはバランスがとれなくてひっくり返ってしまうこともあります。膝の伸展の動きとパワーが大事になるので、下半身を鍛えるために、毎日の練習の積み重ねが大事です。我々のチームでは、いわゆるウエイトや筋トレに重きは置いていません。実際に漕ぐ動きの中で身体を鍛えていく方針です。実践練習をメインに、補強的に筋トレやランニングを行っています。
-端艇部はどのような部ですか?
OB/OGの方々が、大会の度に応援に来てくださったり、差し入れをいただいたり、頻繁に合宿所に顔を出してくださったりと、交流が日々ありますので、日常的に肌で歴史を感じます。その感覚は、単なる伝統やプレッシャーのようなものではなく、昔から脈々と受け継がれてきた精神みたいなものとして強く感じられます。体育会という組織の中の一つなので、勝つことに真摯に向き合い、こだわりをもってやってきたと思いますし、その姿勢は百何十年経っても変わらないのだと思います。端艇部は人数が多い部なので、全員が共同生活の中で日本一という一つの目標に向かっていく難しさもありますが、その分、やりがいもあります。朝から晩まで一緒にいるので、卒業したら寂しくなるだろうなと思います(笑)。
-慶應義塾、慶應義塾端艇部の魅力を一言で言うと?
入学前は漠然とお坊ちゃま大学というイメージがありました。ところが、実際に入学してみると、一人ひとりが何か好きなことに打ち込んでいて、仲間とともに一つの目標に向かって必死に取り組み、特別な何かを共有している人もたくさんいることに気づきました。僕の場合はそれがボートですが、人にはそれぞれ個性があって、各人が何をやるかについては、慶應義塾という枠組みは特に関係無いと思います。ただ、卒業して皆がそれぞれ違う道を歩んでいても、70~80代になっても、仲間とはずっと何らかの形でつながっていたい。それこそが慶應義塾端艇部らしさだと思います。卒業後も端艇部へのバックアップを行うことで、いずれは慶應義塾全体に貢献できるというイメージを持っています。