慶應義塾

フィールドワークをとおして生活の変化を捉える

執筆者プロフィール

  • 佐川 徹

    社会学研究科 社会学専攻 准教授

    佐川 徹

    社会学研究科 社会学専攻 准教授

私の専門は文化人類学とアフリカ地域研究です。「21世紀はアフリカの時代」といわれることがあります。実際、今世紀に入ってから、アフリカの多くの国では経済成長が進み、若者が多数を占める社会は活気に満ちています。その一方で、急激な社会の変容は人びとのくらしにひずみももたらしています。私は、人びとが生活を営む現場に身を置いて調査を進めるフィールドワークをとおして、躍動するアフリカの姿を捉えようとしてきました。

最近、私が関心を抱いているテーマは食生活とその変化です。アフリカの食といえば、食料不足や飢饉などの「問題」ばかりが注目されがちですが、アフリカにも多様で豊かな食と料理の伝統があります。現在、その伝統は大きく揺らいでいます。グローバル化が進むなかで、新たな輸入食材や多くの加工食品がアフリカの農村部にまで浸透しつつあるからです。

もっとも、アフリカの食が画一化されつつあるという理解は一面的です。私が調査をしているガーナ共和国の村落にくらす人たちは、日本でくらす私たち以上に、食の安全性や食が健康にもたらす影響に関心を寄せています。そして、地元で採れた食材を「ナチュラルな」ものとして評価したり、これまでの調理法を見直したりしながら、毎日の食事のあり方を再構成しているのです。人びととおいしい料理を食べながら会話をすることで、くらしの細かな変化を明らかにしていけるところに、人類学的なフィールドワークの醍醐味があるといえるでしょう。