慶應義塾

学校教育現場はいかなる「実践知」を積み重ねてきた(いる)のか

執筆者プロフィール

  • 藤本 和久

    社会学研究科 教育学専攻 教授

    藤本 和久

    社会学研究科 教育学専攻 教授

カリキュラム研究の一分野に「カリキュラム開発史」研究があります。プロジェクト・メソッドはいかにうまれたのか、デューイ実験学校はパーカー・スクールとどのような共通点を有していたのか、などについて、主たる論者の文献をひもときながら解明していく面白さがあります。ですが、教育史のテキストに描き出されるような、そのような典型的なカリキュラム理論や教授理論が、実際の学校現場ではどのように受けとめられ、実践され、時には改良が加えられ独自の発展をみたり、時には実践不可能とみなされ放棄されたりしていたのでしょうか?

私の専門分野である教育方法学では、実践と理論の「緊張関係」がしばしば指摘されます。現代日本の学校教育現場は、行政が示した教育課程もこの問題に絡まり合って、この問題をより複雑化させています。学校教育現場における実践の変遷史は、教育学の理論史とシンクロしてきたわけではありません。「実践知」の蓄積それ自体が新たな問いを呼び込み、さまざまな挑戦を促してきました。実践と理論の関係を学校教育において考究していくということは、まさにこのような双方の歴史性へのまなざしを抜きには進めえません。

学校教育現場への豊かな関与をもちながら、そこに「実践知」の歴史的奥行きを見出し、今の(今日の、本時の)実践の意味を問うていく姿勢を大切にしたいと日々考えています。