執筆者プロフィール
森川 剛光
社会学研究科 社会学専攻 教授森川 剛光
社会学研究科 社会学専攻 教授
私の主な研究業績には、マックス・ヴェーバーを中心にした草創期の社会学とその科学論的・方法論的基礎づけに関する、いわゆる社会学史に属する研究と、ニクラス・ルーマンの理論を応用した、マクロ歴史社会学と世界社会論に分類される研究があります。前者では19世紀ドイツ語圏において社会学が経済学から分出してくる過程で、ヴェーバーと同時代人の経済哲学者フリードリヒ・ゴットルにおいて、社会学の基礎概念である「行為」、「意味」、「日常」などが、いかに発見され、問題化され、基礎づけられたのかについて、博士論文で議論しました。引き続き19世紀末~20世紀初頭ドイツ語圏での、周辺諸科学(経済学、哲学、人類学等)と社会学との関係を追求しています。後者では「ゼマンティク」と呼ばれる社会的に共有される知識(観念・通念)の変化と社会構造の変動、コミュニケーションメディアの発達の相関関係を、特に「愛」の観念について、日本における江戸時代から大正時代までの歴史的変動と現代の世界社会における地域的差異を中心にして研究しました。最近の研究関心は紛争後社会における「赦し」と「融和」の問題に加え、マルティン・ハイデガーとハナ・アーレントの哲学的人間学を参照しながら、社会学的行為論の再検討をおこなっています。これまでの行為論は行為を「制作」をモデルに考えすぎていました。この制作=行為モデルは、様々な挑戦を受けてきましたが、それを背後で支えている、存在論や時間論まで立ち入って検討されたことはありませんでした。