慶應義塾

赤ちゃんの脳に社会的人間の起源を探る

執筆者プロフィール

  • 皆川 泰代

    社会学研究科 心理学専攻 教授

    皆川 泰代

    社会学研究科 心理学専攻 教授

私の研究の軸は言語、社会性を含めたコミュニケーション能力の発達にあり、乳幼児-思春期を対象とした研究を行ってきましたが、学生達とも絵本や玩具の研究、運動発達研究、成人の研究など色々な「スピンオフ」研究も行ってきました。それら異なる研究が色んな意味でつながることも多く、人間の不思議を見たようなワクワク感があります。例えば最近の不思議は言語野の1つである下前頭回(IFG)です。新生児に言語を聞かせるとIFGが活動することも多く、言語機能の原型が新生児にもあることを見出してきました。しかし、新生児のIFGは、基本的な脳機能回路を反映すると言われる安静時脳活動においても、脳回路全体のハブ的役割をし、特にIFGと側頭部の繋がりの重要性が見えてきたのです。なぜIFGなんだろう?と謎は深まるばかりです。そのような時に成人の2者間の社会的相互作用時の脳活動同時計測や乳幼児の運動研究などが様々なヒントを与えてくれました。言語、運動、社会性、知覚、様々なキーワードがIFGを通して繋がってきます。赤ちゃんの脳にはコミュニケーションをする社会的人間として進化してきた謎がまだまだ隠されていそうです。