執筆者プロフィール
金 柄徹
社会学研究科 社会学専攻 教授金 柄徹
社会学研究科 社会学専攻 教授
主な研究を二つご紹介します。まず、「東アジア海域世界」における倭寇・家船・海民の歴史と文化を歴史人類学の立場から研究しています。日本・中国・韓国を繋ぐ「東アジア海域世界」では、古来より多くの交流がなされてきたにもかかわらず、海に携わってきた人々の活動や文化は既存の陸地中心の視点からは十分に読み取れず、またこの海域は、断絶された境界(空間)としてすら認識されてきました。日中韓の陸地権力から周辺に位置づけられてきたこの海からの視点を確保することで、既存の陸地中心(自国中心)の歴史が相対化され、読み直される可能性が大いにあると感じています。もう一つ、「良心的兵役拒否」問題を研究しています。韓国では、男性は約2年間を軍隊で服務することとなっていますが、南北の分断が続く中、兵役は「聖なる義務」であるとの認識が強く、兵役問題に触れることは長らくタブー視されてきました。しかし、2000年代に入り、宗教・思想・信念に基づき、兵役を拒否する若者が増え、「良心的兵役拒否」問題は大きな社会的イシューとして議論されつつあります。今後、韓国社会がこの問題にどのように向き合っていくのかを見極めて行きたいと思っています。