慶應義塾

一人ひとりの子どもの育ちを理解する

執筆者プロフィール

  • 藤澤 啓子

    社会学研究科 教育学専攻 教授

    藤澤 啓子

    社会学研究科 教育学専攻 教授

立つことができてから歩くことができるといった、一般的な発達の姿はありますが、個々の子どもの成長のありようは子どもごとに違っており、からだと心の育ちのどこを見ても個人差があるものです。発達心理学と行動遺伝学の理論を基盤に人間の発達における個人差について研究する発達行動遺伝学は、生物学的要因やさまざまな環境要因が複雑に影響し合いながら、子ども個々に異なる「その子らしさ」が現れるプロセスを明らかにしてきました。

保育園や幼稚園で子ども達が遊ぶ様子を丁寧に観察していくと、子ども達は子ども達なりに社会関係を築き、さまざまな社会的なやり取りをおこなうことや、また第三者の立場からやり取りを見ているなど、同じ教室で同じ時間を過ごしていても、子ども達それぞれが経験していることは必ずしも同じとは言えないということがわかります。こうした日常的な経験の一つひとつも、「その子らしさ」につながっていくと考えられます。

子ども達一人ひとりが、かけがえのない子ども時代を子どもらしく、毎日楽しく、健やかに過ごして成長していくために、大人は何ができるでしょうか。子ども個々に異なる発達の姿を理解したうえで、どのような家庭内・家庭外における教育環境を作っていけば良いのか、そのためにはどのような課題があるのか、探求すべきクエスチョンにあふれています。