慶應義塾

中津だより ──福澤諭吉の故郷を訪ねて(1)「まち歩きマップ」で中津を歩こう

公開日:2026.10.16

読者の皆様ご承知の通り、大分県中津市は福澤先生の故郷です。先生は父・百助が中津藩大坂蔵屋敷に勤番していたため、大坂で生まれますが、1歳半で父と死別した後、一家で中津に帰り、幼少期、少年期をこの地で過ごします。


また、本誌連載中の「福澤諭吉をめぐる人々」でもたびたび触れている通り、小幡篤次郎を始め、多くの中津の人たちが慶應義塾に入社し、福澤諭吉とともに多大な貢献をしてきました。『学問のすゝめ』初編は、明治4年に中津市学校の開校(小幡が校長)に際して書かれたものです。


現在、中津市と慶應義塾は包括連携協定を締結し、歴史的な絆を未来へとつなぐ活動を加速させています。そのような経緯もあり、塾員を始めとした「三田評論」の読者の方に中津を訪れ、現在も町並みの様々なところに息づいている歴史の姿、また今の中津の様子を知ってほしいとの思いから本連載をスタートします。


第1回は、中津市が紙幣の肖像が替わるにあたり、2021年より始めた「不滅の福澤プロジェクト」(2024年度で終了)に慶應義塾も協力する形で作られた「まち歩きマップ」(「中津城下再生古地図」)を紹介します。


本マップは紙版とウェブ版のほかスマートフォンで見るアプリ版が用意されています。紙版は古地図の上にトレーシングペーパーで現在の中津市の地図が重ねられた、いわゆる「重ね地図」の形になっています。


これができるのは、福澤諭吉が暮らした幕末から現在まで、中津が空襲を受けなかったこともあり、町並みがほぼ変化しておらず、道路も道幅もそのままになっているところがほとんどだからです。


アプリ版の方もタッチ1つで、昔と現在の地図が切り替えられるようになっており、しかもスマートフォンで自分の位置情報を表示しながらまち歩きができる、とても便利な仕様になっています。


古地図には、福澤諭吉や小幡篤次郎といった人たちがどこに住んでいたのか、住居に名前まで記してあるのも見逃せないポイントです。


この「まち歩きマップ」を監修した山内慶太君によると「中津は城下町エリアのほとんどが昔のままの区割りです。明治以降も産業が発展した町としては珍しいことです。このマップをつかって回遊できるまちとしての中津を知って、その楽しさを味わってほしい」とのことでした。


中津を訪れても、中津城と福澤旧居しか訪れない人が多いと言われますが、「『福翁自伝』に書かれた幼少期のエピソードを想像しながら、まち歩きをすると、タイムスリップをしているようでぐっと面白くなる」とも。スマホ片手にまち歩きをすれば『福翁自伝』の世界が身近になることと思います。さらに中津は、蘭学の歴史、黒田官兵衛らによる九州最古の近世城郭、河童の伝説など様々な側面からまち歩きの楽しみを膨らますこともできます。


時間に合わせて「諭吉と歩く中津コース」「中津周遊コース」「お気軽散策コース」の3種のモデルコースも設定されていて、折り重なる歴史が魅力の中津の町をガイドしてくれるのも便利です。最近古民家を改築した飲食店や宿泊施設も増えているという、現在の中津の魅力にも、そんな回遊から出会えるかもしれません。


「まち歩きマップ」の紙版は中津市の福澤記念館等の観光地で3館共通観覧券をご購入の方に無料で配布されるとのこと。アプリ版はこちらから入手できます。是非、中津のまちをゆっくり回遊してみて下さい。きっと意外な発見があるはずです。

スマホアプリ版の画面

※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。