慶應義塾大学では「グーテンベルグ聖書」収蔵を受け、デジタル・リサーチ・ライブラリー実現へ向けてのプロトタイプ研究を行うため、各学部の多くの研究者が集結したHUMI(HUmanities Media Interface) プロジェクトを発足。文部省(現文部科学省)の特別助成を受けたこのプロジェクトは最新のデジタル技術を駆使して、「グーテンベルク聖書」 をはじめ、図書館が所蔵する貴重な歴史的書物のデジタル画像のデータ化を行った。これらの作業を通して撮影・データ保存用の機材を独自に開発した文学部高宮利行教授らHUMIプロジェクトのスタッフは、「グーテンベルク聖書」の比較研究のために、1998年よりケンブリッジ大学図書館、マインツ・グーテンベルク博物館などへの海外遠征も敢行。2000年3月に訪れたロンドンの大英図書館は、書物保存に関して世界有数の厳しい基準を持ち、交渉と撮影にかかわる技術検証には1年半もの時間を費やした。しかし、その結果、慶應義塾スタッフの技術レベルの高さと卓越した仕事ぶりは、世界中から高く評価されることになった。大英図書館とは、昨年11月、今後も継続的に歴史的書物のデジタル化に共同で取り組む内容の覚書がとり交わされている。HUMIプロジェクトによって収集された画像データの一部は、ホームページ上で公開されており、自由に閲覧・利用することができる。