慶應義塾の新年は、1月10日に教職員・塾員・塾生たちが三田山上に集う「福澤先生誕生記念会」で始まる。これは、義塾の創立者である福澤諭吉をしのび、その遺業をたたえて、福澤家の方々をお招きして義塾社中で誕生日を祝う行事である。
福澤が大阪の中津藩蔵屋敷に生まれたのは天保5年12月12日で、陽暦の1835年1月10日にあたり、明治44年にこのことが確認されてから福澤家では毎年1月10日に誕生を祝うこととなった。それまで義塾では福澤の命日を記念日としていたが、これにならって大正3年1月10日に改め、以後は毎年この日に行事が催されるようになった。その後、昭和4年には蔵屋敷のあった大阪・堂島玉江橋北詰に鋳銅製の誕生地記念碑が建てられ、後に戦時下の銅鉄製品回収のため供出を余儀なくされたが、昭和29年に再建された。