慶應義塾大学再生医療リサーチセンターの髙橋 航来(慶應義塾大学医学部4年生)、加藤 玖里純(慶應義塾大学医学部6年生)、岡野 栄之センター長、森本 悟副センター長、ならびに公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター分析生化学研究部の植田幸嗣部長らの共同研究グループは、孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の血清中に含まれる細胞外小胞に、遺伝子発現中のスプライシングに異常が生じていることを示すアミノ酸配列(隠れペプチド(cryptic peptide))を含むタンパク質が存在することを発見しました。
本研究では、ALSに特徴的な病態であるTDP-43タンパク質の細胞核からの喪失に伴うスプライシング異常に着目し、スプライシング異常により生じる隠れペプチドの情報を用いることで、健常者とALS患者を識別できることを明らかにしました。特に、隠れペプチドが挿入されたIGLON5タンパク質が、健常者では検出されない一方で、ALS患者では半数で検出されることを示しました。
この隠れペプチドは、ALSにおけるTDP-43機能異常を反映するものと考えられ、病態依存的なバイオマーカーとしての有用性が期待されます。本研究成果は、ALSの診断に寄与する血液バイオマーカーの開発に貢献するとともに、ALSにおける異常ペプチドの病態生理の理解に重要と考えられます。
本研究成果は、2026年1月29日に、日本炎症・再生医学会の公式国際誌Inflammation and Regeneration誌に掲載されました。