慶應義塾大学理工学部化学科の中嶋敦教授と株式会社アヤボらの研究グループは、収差補正走査透過型電子顕微鏡(STEM)の画像から、白金ナノクラスター(Ptn)の構成原子数を高精度に分類する深層学習技術を開発しました。
近年、生成AIの社会実装によりAI(人工知能)が注目を集めている中、日本の産業競争力を支える「材料・製造分野」においても、AIを活用した研究開発の高度化・自動化(研究DX)が重要課題となっています。特に触媒材料は、脱炭素社会の実現に向けて燃料電池・水電解・化学プロセスなど幅広い領域で不可欠であり、性能向上と希少資源の利用効率化が強く求められています。
本研究は、電子顕微鏡による原子スケール観察とAI解析を融合することで、材料開発のボトルネックとなっていた「原子数の迅速かつ客観的な識別」を可能にしました。これは、次世代のデータ駆動型材料設計(Materials Informatics)の発展に貢献する基盤技術になることが期待されます。
本研究成果は、STEM観察画像を教師データとして深層学習により白金ナノクラスターの構成原子数を分類する技術の開発として、2026年2月27日(英国時間)にSpringer Natureが発行する国際学術誌「npj Computational Materials」にオンライン掲載されました。
なお、本研究で用いた教師データは、STEM観察により白金ナノクラスターの粒径と構成原子数の関係を明らかにした先行研究に基づくものであり、この研究成果は2025年9月15日(英国時間)にElsevierが発行する国際学術誌「Ultramicroscopy」にオンライン掲載されています。