味噌汁をおたまでかき回すと、最初は大きな流れがしだいに細かい渦に分かれていきます。このように「大きな構造が小さな構造へ砕けていく」現象は、流体の非線形な時間発展として現れる乱流の典型例です。しかし、条件によっては逆に、小さな渦が集まってより大きな渦や流れの構造へ成長していく逆カスケードが起こることがあります。
慶應義塾大学理工学部の山本直希教授、同大学商学部横倉諒助教、筑波大学システム情報系の広野雄士准教授、中国科学院大学杭州高等研究院の鎌田耕平特聘副研究員らの研究グループは、近年注目される一般化対称性に基づき、逆カスケードを生み出す新しいメカニズムを提示しました。本研究では、アクシオン電磁気学と呼ばれる理論を用いて、一般化対称性に対応する保存量によって、電磁場がより大きな構造へと成長していくこと、さらにその進み方が「形は保ったままスケールだけが変わる」自己相似的なスケーリング則(指数)で特徴づけられることを、解析的手法と数値シミュレーションの両面から明らかにしました。本成果は、乱流現象の新たな普遍性の可能性を示すとともに、初期宇宙のインフレーション期における電磁場の増幅過程の理解にも手がかりを与えると期待されます。
本研究成果は、2026 年2月13日(現地時間)に米国物理学会誌『Physical Review Letters』のオンライン版にて公開されました。