慶應義塾大学 自然科学研究教育センター/文学部生物学教室の古川亮平准教授、および同大学大学院理工学研究科後期博士課程3年の南方宏太らのグループは、福井大学の多米晃裕博士と共同で、私たちの血液中で止血を担う「血小板」の祖先と考えられる細胞をヒトデの体内で発見しました。これまで哺乳類特有と考えられてきた「核を持たない血小板」が、私たちと同じ祖先を持つヒトデにも存在し、創傷治癒と免疫応答の両方に貢献していることを明らかにしました。
この発見は、血小板の機能が哺乳類で独自に獲得されたものではなく、進化的に非常に古い時代から、免疫と止血という二つの重要な生命維持機能が密接に連携しながら発展してきたことを示唆するものです。本成果は、血小板の進化に関する長年の常識を覆すものであり、生命の生体防御システムの根源的なメカニズムの解明に向けた、重要な基盤となることが期待されます。
本研究成果は、2025年9月15日に「Journal of Immunology」オンライン版に掲載されました。