慶應義塾大学大学院理工学研究科の松坂美月(博士2年生、日本学術振興会特別研究員DC1)、鹿嶋倖太郎(修士2年生)、寺井航紀(修士1年生)、上田拓海(修士2年生)、宮本龍之介(同大学院修了生)、同大学理工学部の物理情報工学科・海住英生教授、化学科・山本崇史准教授らは、東北大学多元物質科学研究所の芥川智行教授らと共同で、キラル分子を用いた磁気ナノデバイスにおいて室温での磁気抵抗(MR)効果の観測に初めて成功しました。
近年、キラル分子におけるキラル誘起スピン選択性(CISS)効果が大きな注目を集めています。CISS効果に関して、磁性探針を用いた導電性原子間力顕微鏡による研究は多い一方で、デバイス化された報告例は少なく、その接合面積は小さくてもマイクロメートルスケールに留まっていました。
今回、磁性/非磁性薄膜のエッジを用いたナノ接合作製技術を開発しました。さらに、磁性体間に挟む分子として新たに合成したキラル分子を用いて磁気ナノデバイスを作製した結果、室温において、CISS由来のMR効果を観測することに初めて成功しました。
本研究成果は2025年7月30日(英国時間)に『Nanoscale』(オンライン、英国王立化学会)に掲載されました。