理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター量子計算科学研究チームの関和弘研究員、開拓研究所柚木計算物性物理研究室の柚木清司主任研究員(計算科学研究センター量子系物質科学研究チームチームプリンシパル、量子コンピュータ研究センター量子計算科学研究チームチームディレクター、創発物性科学研究センター計算量子物性研究チームチームディレクター)、クオンティニュアム株式会社の菊池勇太リードR&Dサイエンティスト(理研数理創造研究センター客員研究員)、慶應義塾大学医学部の早田智也准教授(理研数理創造研究センター客員研究員)の共同研究グループは、周期駆動系を模した量子回路を用いることで量子情報が非局在化した状態(スクランブリング状態)を準備できることを、イオントラップ型量子コンピュータを用いて実証しました。
スクランブリング状態は、量子情報の復元や量子多体系計算に役立つことが期待される性質を持っています。本成果は、物理現象と量子情報が交錯する学術研究領域における黎明(れいめい)期の量子コンピュータ利用事例として、日本における量子コンピュータ利用の促進に貢献すると期待されます。
今回、共同研究グループは、これまでランダム性を持つ量子回路を用いて議論されることが一般的だったスクランブリング状態を、周期駆動系を模した量子回路を用いても準備できることを、高い忠実度で量子操作が可能な量子コンピュータの実機を用いて、適切なエラー緩和法と理論的考察の組み合わせにより確かめました。
本研究は、科学雑誌『Physical Review Research』オンライン版(4月10日付)に掲載されました。