学校法人愛知医科大学(祖父江 元、熱田 直樹、中村 亮一、藤内 玄規)・国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院医学系研究科(中杤 昌弘、松田 侑美)・慶應義塾大学再生医療リサーチセンター(岡野 栄之、森本 悟)らの共同研究チームは、日本人ALS患者2,015例(探索コホート1,808例・再現コホート207例)を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)により、ADAM29–GPM6A遺伝子間に存在する遺伝子多型(rs113161727)がALS患者の発症年齢の若年化と有意に関連することを明らかにしました(効果量−4.40年、p=1.08×10-9)。さらに日本人で最も頻度の高い家族性ALSの原因遺伝子であるSOD1遺伝子変異を有する患者では、同遺伝子多型により発症が約10.2年早くなることを明らかにしました。患者由来iPS細胞から分化させた運動ニューロンにおいて、同遺伝子多型(rs113161727)の保有者でGPM6Aの発現が上昇していることも確認しました。ALSは多様であり、治療開発は多様性を踏まえる必要がありますが、本研究は、ALSの個別化治療に向けた分子基盤の一端を明らかにするものです。
本研究成果は、2025年12月5日に国際学術誌 『Communications Biology』(オンライン版)に掲載されました。