慶應義塾大学理工学部物理学科の藤井瞬助教、同学部電気情報工学科の田邉孝純教授、同学部システムデザイン工学科の柿沼康弘教授らの共同研究グループは、超精密機械加工によるトップダウン手法で作製した単結晶微小光共振器を用いて、25 GHzを超える高い繰り返し周波数をもつマイクロ光コムの発生に成功しました。
性能を詳しく調査した結果、従来広く用いられてきた研磨加工のみで作製された光共振器と比べて、マイクロ光コムの光スペクトルの再現性や平坦性、波長帯域が大幅に向上し、さらに動作に必要な消費エネルギーの低減にも寄与していることが分かりました。また、この光コムを用いて生成した約26 GHzの電波(マイクロ波)の位相雑音特性を解析したところ、-140 dBc/Hz(100 kHzオフセット)を下回る極めて低い雑音特性を示すことを明らかにしました。
本手法で用いた超精密機械加工は、高性能なフォトニクス素子を作製することに広く用いられている産業技術であり、コンピュータ制御で大量生産可能という大きな利点があります。本成果は、マイクロ光コムの社会実装に加え、高速大容量光通信や低雑音マイクロ波源などへの活用と近い将来の市場展開に大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は2025年12月6日(日本時間)に、米国物理学協会のオンライン誌APL Photonicsにて公開されました。