国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、理事長:間野 博行)研究所 ゲノム生物学研究分野 中奥 敬史ユニット長、河野 隆志分野長、慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器)額賀 重成助教らの研究グループは、1,000例を超える肺がん試料を解析し、CMTR2という遺伝子に変異があると、メッセンジャーRNA(タンパク質の設計図)の編集過程であるRNAスプライシングにミスが起きやすくなることを明らかにしました。
さらに、CMTR2に変異があるがん細胞は、スプライシングを調節してがんを攻撃する化合物(スプライシング阻害剤)と免疫のブレーキを外してがんを攻撃しやすくする薬(免疫チェックポイント阻害薬)に高い感受性を示すことも分かりました。今回の成果は、「RNAスプライシング機構の異常」が遺伝子変異の多様性や薬剤耐性のため、治療が難しい疾患とされている肺がんの新しい治療標的になり得ることを示したもので、今後のがんゲノム医療への応用が期待されます。
本研究成果は、2025年11月6日付で、国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。