慶應義塾大学大学院理工学研究科の安田一希(博士課程2年)、遠藤克浩(研究当時博士課程2年)、同大学理工学部の荒井規允准教授、泰岡顕治教授の研究チームは、氷の表面に存在する液体様の膜に着目し、分子動力学シミュレーションと機械学習によりその分子的特徴を明らかにしました。
ウィンタースポーツや凍結した路面での運転などを通して、氷が滑りやすいということは誰しもが経験します。この滑りやすさは、氷の表面に薄い水の膜である擬似液体層が形成されていることに起因します。
本研究では、大規模な分子動力学計算と機械学習を用いて、擬似液体層に含まれる分子運動を解析しました。その結果、擬似液体層の分子運動は固体の氷と液体の水のいずれとも異なっており、また動きやすい分子と動きにくい分子が空間的に不均一に存在していることを明らかにしました。この成果は、氷が示す特異的な性質の理解を深める上での重要な一歩となります。
本成果は、2024年5月29日にNature出版社の『 Communications Chemistry 』に掲載されました。