慶應義塾大学医学部眼科学教室の栗原俊英准教授、池田真一特任講師、陳俊翰(同大学院医学研究科博士課程)らの研究グループは、株式会社坪田ラボ(坪田一男CEO、本学名誉教授)との共同研究で、近視が生じる際に認められる強膜(いわゆる白目の部分)が変形しやすくなる状態(強膜リモデリング)は、強膜におけるトロンボスポンジン1(Thbs1)という遺伝子の発現が減少することが引き金となり、強膜構造タンパクの減少および分解酵素の増加を引き起こすことで生じることを、データベース分析とバイオインフォマティクス、動物実験を駆使することで明らかにしました。
本研究は、近視強膜に生じている病的変化の原因を明らかにすることで今後の近視予防・治療法の開発を促進するだけにとどまらず、生物統計学と実験研究とを組み合わせることにより新たな近視治療戦略を短時間で正確に見出していくことが可能であることも示したものであり、社会的意義の大きい研究であると考えられます。
今回の研究成果は、2月14日(グリニッジ標準時)に国際医学誌であるMolecular Medicineに掲載されました。