慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程の千葉楽斗、尾﨑雄人をはじめ、指導教員であるサベジ パトリック准教授(環境情報学部)、と共同研究者である藤井進也准教授(環境情報学部)で構成された研究チームは、音楽研究の分野で初めて完全公開されたRegistered Reportsを実施し、2023年5月22日(現地時間)に学術誌『Collabra: Psychology』に研究論文を発表しました。
本研究チームは、音楽演奏の評価はどの感覚に依存しているのかを研究するため、クラシックピアノ・津軽三味線コンクールから演奏者間の質(1位と2位、1位と下位)と動画の視聴条件(映像のみと音声のみ)を制御した実験デザインを組み立て、155名の日本人参加者に優勝者を判断してもらう実験をオンラインで行いました。実験の結果、相対的な演奏者間の質と視覚/聴覚の刺激に交互作用が確認され、この交互作用は文化横断的に一般的であることが明らかになりました。一方で、クラシックピアノにおいて上位間の演奏者を評価する場合は視覚による判断が優位であり、津軽三味線において上位と下位の演奏者を評価する場合は聴覚による判断が優位であることが示され、音楽演奏の判断における視覚と聴覚のバランスに文化的な要因があることも発見しました。