理化学研究所(理研)生命医科学研究センター消化管恒常性研究チームの李 優先基礎科学特別研究員(研究当時)、本田賢也チームリーダー(慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室教授)、新幸二客員主管研究員(慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室准教授)、かずさDNA研究所ゲノム事業推進部の川島祐介ユニット長らの国際共同研究グループは、タンパク質を分解する消化酵素の一つであるトリプシンを分解するヒト腸内細菌を同定し、このトリプシンの分解が細菌やウイルスなどの病原体の感染防御に寄与していることを突き止めました。
本研究成果は、腸内細菌が口から侵入してきた細菌やウイルスが引き起こす感染症に対する予防・治療への新たな創薬シーズとなり、新しい医薬品の開発につながると期待できます。
今回、国際共同研究グループは、プロテオーム解析・ノトバイオート解析を利用して、腸内細菌と宿主タンパク質の相互作用の網羅的解析を行いました。その結果、腸内細菌の一種である Paraprevotella clara がトリプシンの分解を促進していること、腸内トリプシンの分解が細菌、ウイルスの感染防御につながることを明らかにしました。
本研究は、英国の科学雑誌『 Nature 』オンライン版(9月7日付:日本時間9月8日)に掲載されました。