慶應義塾大学文学部の板口典弘助教は、心理学的に厳密な手法を用いて、没入型ヴァーチャルリアリティ(VR)環境における物体の大きさ知覚のバイアス、および仮想手を用いた物を掴む運動(到達把持運動)の特徴を明らかにしました。具体的にはまず、VR環境内の物体は、それが身体部位であろうと日常物品であろうと、実際よりも約5%小さく知覚されることを示しました。次に、仮想手を用いて物体を掴む際には、物体が現実にも存在し、実際に掴める場合には、手の開き幅が約40%程度も大きくなる一方で、物体が仮想的(視覚的)にしか存在しない場合には、手の開き幅は現実環境とほぼ変わらないことを明らかにしました。
本成果は、VRを用いた研究実施や、より高い没入感・より疲れないゲームの開発など、幅広い分野で応用されることが期待されます。
本研究は、2021年8月13日に「Frontiers in Virtual Reality」(オンライン版)に掲載されました。