慶應義塾大学病院神経内科診療科部長の中原仁教授および同医学部生理学教室の岡野栄之教授、髙橋愼一特任教授、森本悟特任講師らの研究グループは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者にロピニロール塩酸塩を投与する医師主導治験を行い、その安全性と有効性を明らかにしました。
同グループは 2016年に、京都大学の山中伸弥教授が発明した iPS 細胞を用いて、パーキンソン病の薬であるロピニロール塩酸塩がALSの病態に有効であることを見出しました。今回の臨床試験により、その薬の安全性と効果がALS患者でも確認され、iPS 細胞創薬によって、既存薬以上の臨床的疾患進行抑制効果をもたらしうる薬剤の同定に世界で初めて成功しました。
具体的には、ロピニロール塩酸塩を最終的に16mg内服することで、1年間の試験期間で、病気の進行を27.9週間(約7か月)遅らせる可能性があることがわかりました。
今回の研究結果により、有効な治療法に乏しいALSという非常に重い病に、新たな治療の選択肢がもたらされる可能性が示されました。