慶應義塾大学理工学部生命情報学科の西本勝利氏(当時)と舟橋啓准教授、徳岡雄大氏、山田貴大助教、山陽小野田市立山口東京理科大学の広井賀子教授らのグループは、細胞が遊走する際には事前にその形状を変化させるという性質を利用し、現在の細胞の画像から未来の移動方向を予測することができるAIを開発しました。この結果、実装したAIはマウス線維芽細胞などにおける未来の移動方向を4方向(左上、右上、左下、右下)とした場合、80%以上の精度で予測が可能であることが示されました。さらにAIが学習した画像内の特徴を調べることで、細胞が遊走をする際に前部に形成されることが知られている細胞突起及び細胞後縁部の特徴的な形状を元に未来の移動方向の予測をしていることを示し、実装したAIが生物学的な根拠に基づく未来予測を行っていることを明らかにしました。今回の成果は、現在の細胞の画像から未来の状態を予測するためにAIが有用であることを示しており、このことは医療分野などにおいて未来の予測が強く要求されるガンの予後診断などへの応用が期待されます。
本研究成果は学術雑誌PLOS ONEへの掲載に先立ち、同誌オンライン速報版が2019年9月4日(水) (米国時間)に公開されました。
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