慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教室の金井隆典教授、中本伸宏准教授、幸田裕造共同研究員の研究グループは、肝移植以外に有効な治療法が少なく、致死率の高い肝疾患である急性肝不全患者の肝臓、および血液中において、免疫細胞の一種である形質細胞様樹状細胞が顕著に減少していることを発見しました。
さらに、形質細胞様樹状細胞を欠損させたマウスに急性肝炎を発症させると病態が悪化すること、また急性肝炎を発症させたマウスに形質細胞様樹状細胞を移植すると病態が改善することから、急性肝炎に対して形質細胞様樹状細胞が保護的に機能することを明らかにしました。その他、形質細胞様樹状細胞が、制御性T細胞により産生される免疫抑制性サイトカインIL-35を増加させることで、TH1細胞およびその産生する肝炎悪化因子IFN-γを抑制していることも明らかにしました。
本成果は、形質細胞様樹状細胞が急激に進行する肝炎から肝臓を保護する可能性とその制御性T細胞およびIL-35を介した保護機能の詳細を示したもので、形質細胞様樹状細胞を利用した急性肝炎・急性肝不全に対する新たな治療法や診断薬の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2019年7月2日(米国東部時間)に国際学術雑誌『Journal of Clinical Investigation』のオンライン版に掲載されました。
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