-栗田さんが宝塚歌劇に関心を持つようになったきっかけはなんですか。
栗田 初めての宝塚歌劇体験は小学校3年生のときに母が借りてきた『エリザベート』初演のビデオでした。あまりに面白かったので、その後、劇場に連れて行ってもらって見たのが『凱旋門』と『デパートメント・ストア』です。それまでも漫画やアニメには触れていましたが、私にとって「生身の人間」が演じている物語に触れたのはそれが初めての体験で、それ以来、どっぷりとハマってしまいました。その後、テレビドラマや映画、他の演劇作品などにも広く関心を持つようになりましたが、あらためて振り返ると私の原点はやっぱり宝塚歌劇だったと思います。
-『エリザベート』は塾員で文学部の先輩でもある小池修一郎さんの演出でした。
栗田 はい。小池先生には入団面接試験で初めてお会いしました。お忙しい方なので入団してから再びお会いしたのはそれから1年半後ぐらいのことだったのですが、私を見るなり「あれっ、あんた髪切ったね?」と言われて(笑)。面接で一度会っただけの私のヘアスタイルをよく覚えていらしたなとびっくりしました。やはり一流の演出家、舞台人ともなると人間観察力と記憶力がすごいんだなあと思いましたね。
-いつ頃から栗田さんはエンターテインメント業界への憧れを持たれるようになったのですか。
栗田 憧れはありましたが、自分はあくまでも受け取って楽しむ側だと思っていました。小学生の頃は部活もなく時間だけはたっぷりありましたから、新しく始まるテレビドラマの初回はすべてチェックして、その後面白いと感じたドラマだけを見続けていました。特に宮藤官九郎さんの作品が大好きで、彼のドラマは全て見ています。同じくドラマ好きの母が見ていた山田太一作品など、古いドラマも一緒に見ていましたね。ちなみに祖父は洋画やオペラが大好きだったので、エンターテインメント好きの血筋なのかもしれません。
-その頃は将来自分が舞台の演出や脚本の仕事をすることになるとは考えていなかったのですか。
栗田 全く考えていませんでしたが、演劇や映画の脚本を読むのは好きでした。高校生の頃、私には全く違う夢があり、パティシエになりたかったのです。当時ケーキ作りにハマっていて、高校卒業後は製菓学校に通いたいと思っていました。しかし親からは「大学は行っておきなさい」と言われ、将来パティシエ修業でフランスに行くことを踏まえてフランス語を勉強できる大学に行こうと、いくつかの大学のフランス文学科を受験しました。その中で慶應義塾の文学部だけが、2年生にあがるまで専攻を決める猶予があり、パティシエの夢にも少々迷いがありましたから、猶予期間のある慶應義塾に進学したのです。