「現時点ではデータを取得した段階なのでこのデータに基づいてどういう取り組みをしていこうかと検討している段階ですが、測定の場面において様々な機器を用いてデータを入手しています。今度はその得た数値をもとにトレーニングをしていくことで成果を出して行かなければならないので、数値を得て活かすという場面においても測定機器やデータが使えたらいいなと思っています。現在では、ウエイトトレーニングをする際に、挙上スピードを測ってそれを基にメニューを組むという考え方も出てきているので、実施できる環境が整えばもっと成果は出てくると思います。
全国的にみると今の試みはまだ新しい考え方ではあるので、まずは量をしっかりこなすという考え方ももちろんあると思っています。いくら質を高めても量が伴っていなければやる意味がないと感じているので、オーバーワークになりすぎず、必要最低限の「量」を確保するという点についてはまったく否定的ではありません。
今私たちがやっている新しい試みや考え方が高校野球全体に広まっていくことは悪いことではないと思っています。トレーニングもまずは日本一を取るというところを目標にやっていますが、将来的なところを見据えて日々取り組んでいます。いずれ結果を出せれば、野球部全体としても新しい試みや考え方が広く影響していくと思うので、ただただ日本一を目指すというのではなく、高校野球界に対して様々な発信ができればと考えています。慶應義塾高等学校野球部はそういう部だと思いますし、それこそが部の強みでもあると思っています。
また選手たちには、野球で日本一というだけではなく、人としても日本一基準であるべきという考え方が部にはあるので、選抜を目標に練習を重ねて、大会を通じて人としてもひとまわり成長してくれることを期待していますし、私自身も野球を通して選手と一緒に成長しながら人間的にも成長できればと思っています」
高校野球の将来を見据え、今後は、高校野球と大学野球の比較研究もやってみたいと目を輝かせています。