7月7日16時、横浜スタジアムにて開会式が行われ、第107回全国高等学校野球選手権・神奈川大会が開幕します。慶應義塾高等学校(塾高)野球部にとって、暑い夏の戦いの始まりです。7月27日の決勝戦(横浜スタジアム)を目指し、全国最多の172校が競い合う、最も厳しい地方大会の一つとなります。
「107」という数字に特別な感じを抱かせる今年の大会では、選手宣誓を塾高主将・77回生の山田望見君が務めます。107校の立候補校から抽選で選ばれた巡り合わせに、何か運命的なものを感じざるを得ません。塾高主将が夏の大会で選手宣誓を務めるのは、62年前の15回生・加瀬谷安久主将以来。選手宣誓では、1949年選抜大会での1回生・小川正二主将、2023年春季関東大会での75回生・大村昊澄主将の例もありますが、やはり“夏”は特別な舞台です。
そして、今年の夏にはもう一つの特別な出来事が待っています。7月10日の初戦に勝利すれば、7月12日の2回戦では平塚球場にて、慶應義塾湘南藤沢高等部との“塾―塾対決”が実現します。夏の大会での両校の対戦は史上初。どちらも応援したい義塾ファンにとっては、なんとも痺れるカードですが、ここは日吉倶楽部会長として、塾高への応援をお許しください。
今年のチームは、77回生を中心に「常勝喜龍」を合言葉に鍛錬を重ねてきました。昨年秋の県大会、春の県大会では、いずれもあと一歩で悔しい思いをしましたが、この夏にかける思いは例年以上に強く、可能性を大いに感じさせてくれます。
6月28日には、日吉倶楽部主催の激励会を藤原記念ホールで開催しました。舞台に立った3年生の中には、残念ながら夏のベンチ入りを果たせなかった選手も含まれていました。109名という大所帯から20名のベンチ入りメンバーが選ばれ、チームが一つになるプロセスには、毎年ながら厳しい競争があり、そこには多くのドラマと葛藤が存在します。それでも、舞台に立った選手たちは皆晴れやかな表情を見せ、日々の努力を感じさせない、いかにも“慶應らしい”チームが出来上がったと実感しました。
この大所帯を陰から支えてきたのが学生コーチたちです。大学進学後、自らの野球人生に区切りをつけ、後輩たちのために現場で力を尽くしています。この仕組みは1980年前後からゆるい形で始まり、私自身も約40年前に学生コーチとして塾高野球部を支えた経験があります。現在、OBの中には100人を超える元学生コーチがおり、1600人に及ぶ日吉倶楽部員の結束の要ともなっています。練習場である日吉台球場は、マムシ谷の一番端っこにあり、「慶應日本一」の横断幕の下、泥まみれになりながら、選手とともに日が暮れるまで汗を流す彼らがあって、大所帯の運営が成り立っています。
山田主将をはじめ、選ばれた20人の選手には、チームメート109人、学生コーチ、保護者の皆様、そして義塾の高校野球ファン全員の思いを背負い、頂点へと駆け上がってほしいと願っています。
常勝喜龍を実現しよう!