登場者プロフィール
松田 蓮 Ren Matsuda
環境情報学部 3年出身校:新潟南高等学校(新潟県)
松田 蓮 Ren Matsuda
環境情報学部 3年出身校:新潟南高等学校(新潟県)
音楽と演劇の可能性を広げるために
生まれ育ったのは、小学校の全校生徒が約50人の農村部。小学1年生からドラムを習い、小学6年生から音楽制作を始めました。一貫して芸術表現に興味があったので、芸術系の大学で表現技法を学ぼうと考えたこともありました。
しかし高校時代から演劇部に所属したことで、音楽や演劇などの表現をどうやったらもっと社会に実装できるのかという問題意識が芽生えました。表現の技術だけではなく、社会との接合点になるような学びが得られる場所として、SFCの存在を意識しました。ここなら自分なりに「新しい表現」や「未知の音楽」が探究し続けられるのではないかと直感したのです。
音響スタジオが借りられ、さまざまな専門分野の先生方から助言をいただける環境も大きな魅力でした。そして何よりも重要だったのは、藤井進也先生と「x-Music Lab」の存在を知ったこと。音楽と演劇のどちらかひとつに絞らなければいけないと思い込んでいた自分にとって、藤井先生の存在は希望でした。自分自身も音楽表現の土台がドラムにあったので、ドラマーでもあり研究者でもある藤井先生からご指導いただきたいと思いました。
社会学や認知化学など、芸術以外の関心分野を学べるカリキュラムも魅力でした。いろんなことに漠然とした興味を抱きながら、ひとつだけ選ぶのが苦手な自分の気質にもぴったりです。頭のどこかでずっと気になっていた学問分野を「詰め合わせ」のように試せるのがSFCの魅力です。
表現者の成長をサポートしてくれる環境
入学後は1年生から藤井進也研究会に入り、さまざまな刺激を受けながら自分の表現活動も続けています。表現者がSFCで学ぶメリットは、大きく2つあります。ひとつは充実した設備が利用できること。音響スタジオ、撮影スタジオ、AVカウンターから借りられる機材などはどれも極めて高性能です。恵まれた環境のおかげで、これまでもクオリティの高い作品が制作できました。
もうひとつは多様な専門分野の授業が選択できること。さまざまな視点から得られた気づきが、自分自身の学びに還元できます。研究分野とはまったく関係がなさそうな授業から、作品のアイデアに繋がる学びがたくさんありました。特に「一人称研究」などの認知科学分野には刺激を受けています。新しい視点で世界を捉える経験は、作品制作にも解像度の高いインプットとして活かされてきました。
個人プロジェクトの音楽制作は、「信長蓮」の名義で活動を続けています。また1年生から劇団を立ち上げ、役者をやりながら脚本や演出を兼ねるようになりました。藤井先生がドラムを教えている体育の授業で、SA(Student Assistant)も務めています。人気の授業なので抽選になることが多いですが、初心者が6週間でそこそこ演奏できるようになる授業です。
劇場を飛び出した演劇の試み
藤井研究会では、1年生から大きなプロジェクトに関わる機会をいただきました。華やかなイベントの背後で、泥臭く手を動かす重要性を学んでいます。演劇でも音楽でも、人や社会に届けるためには自分の内面と徹底的に向き合う時間が必要です。
現在取り組んでいる研究テーマは、劇場外の空間における演劇の可能性。舞台と客席が向かい合う二項対立のような構造には、以前から不足を感じていました。そこで街中や公園などを舞台にして、その場所にまつわる意味を組み込んだ実験的な上演を繰り返しています。観客が没入できる仕掛けを加えたり、観客に参加を促す仕組みを導入したり、そこでしかできない体験が生み出せる瞬間的な関係性に興味があります。
音楽や演劇だけでなく、どちらのカテゴリーにも属さない体験の創造も模索しています。最近は移動式屋台を用いた「コーヒー牛乳屋」を各地で展開しようと計画中です。人と人との関係性を捉え直し、今までになかった新しい視点を体験に落とし込んで、それを社会に展開していきたいと考えています。
小学生時代から始めた表現活動は、SFCで新しい機会につながっています。何かを継続するのは、簡単そうに見えてとても難しいこと。活動を支えてくださるみなさんへの誠意と感謝を忘れずに、今後も新しい表現活動の模索を続けていきます。