2024年11月、当時小5の長男が、
一緒に入っていた風呂のなかで突然、涙ながらに懇願してきた。
「パパ、野球がしたいです…」
・・・・・
「ミッチーか!」(『スラムダンク』第8巻参照)
と、大笑いしつつも、コロナ禍のいろいろな制限のなかで小学生生活を過ごしてきた彼が、意を決して、剥き出しの想いをぶつけてきた姿に胸を打たれる。
何とか応えてやりたい…親としても腹を括って、6年生を前に方針転換!
何かを辞めて受験勉強に打ち込む同級生たちが増えてくるこの時期に、中学受験を撤退して野球に打ち込むという大胆な舵を切った。
その日から、グラウンドのなかで大声出してキッズたちを応援する週末が始まったわけだが…「運動と脳」の研究者の性(さが)なのか、このグラウンドのなかだからこそ、人生において大切なものがたくさん育まれていることに気づく。
「どうやったらホームランが打てますか?」
そんなことを生成AIに聞けば、
・打球の「角度」を意識する(30度前後のロマン)
・ボールに「バックスピン」をかける
・「下半身のパワー」をヘッドスピードに変える
などなど、ものの数秒でそれっぽい情報が次々とリストアップされる。でも、こういった情報を真に受けたところで、オオタニサンみたいになれるのか?
言わずもがな、答えは“NO”だ。
何千回何万回とバットを振って、それでもなお三振を積み上げて、そのたびに悔しがって、チャンスに打席がまわってくれば心臓がバクバクして、そのプレッシャーに打ち勝って良いのが打てたときにはチームメイトたちと笑顔でハイタッチして…そうやって自身の身体を動かして試行錯誤を積み重ねると、数多の情報の意味が実感を伴って理解できるようになってくる。成功と失敗を繰り返すことで、点在していた情報が線でつながってくる。監督やコーチが心理的に安全な環境を提供してくだされば、こうした経験知が脳内で素直に強化され、成長はますます加速する…情報を得るのが簡単になった時代だからこそ、泥臭い経験の価値は爆発的に上がっているのだ。
生成AIは何も教えてくれない(身体性と感情を伴う試行錯誤なしには)
ありったけの情熱を傾けて少年野球に向き合う長男の姿から、こんな一考察を得るに至った、実に有意義な少年野球応援オヤジライフだった。
(追記)
こんな私の今の考えと割としっかり整合するようなエビデンスを提示してくれている学術論文が2026年1月の『Science』誌に掲載されています。ご興味がおありの方はぜひ!