慶應義塾

誰もが安心して過ごせるキャンパスを! @easeサポーターの活躍(前編)

2023/11/30

2022年度の秋学期にスタートした「@ease(アット・イーズ)プロジェクト」は、障害のある学生、教職員等を支援する取り組みの一つです。プロジェクトの実施に当たっては、当該の方に関係するさまざまな部門が連携、協力し合いながらその方にあった支援体制を構築していく点が大きな特徴となっています。このことにより障害のある方の孤立を防ぎ、関係するすべての部門が当事者となって障害のある方に向き合うことを大切にしています。

このプロジェクトで大きな役割を果たすのが、年2回(夏・春)の公募で採用された学部・研究科の学生=@easeサポーターです。サポーターに選ばれた学生はプロジェクトを統括する協生環境推進室のコーディネーターや障害学生支援室と緊密に連携しながら、慶應義塾の全キャンパスで障害のある方々をサポートしています。@easeサポーターはいわゆるボランティアではなく、規定の報酬が支給されます。

「2021年夏の@easeサポーターの最初の募集には私たちの想像をはるかに上回る人数が集まりました」と話すのは協生環境推進室のコーディネーター島田由美子さん。「いかに多くの学生がこうしたプロジェクトを待ち望んでいたかということを強く感じました」と話します。

菖蒲健太君(理工学研究科修士課程2年)は、2021年から活動する@easeサポーター第1期生の一人です。大学院で分子シミュレーションの研究に取り組みながら、矢上キャンパスで車椅子の大学職員の介助などを行っています。

「お昼ご飯の買い物の移動介助をして、そのまま一緒に食事もします。私の小学生時代、クラスに身体に障害があったり、発達障害がある友達がいたので、私にとってそうした人たちをサポートすることは特別なことではありません。街中などでも困った人を見かけたら、自然と手を差し伸べます……私にとって@easeサポーターの活動もその延長です」(菖蒲君)

左からコーディネーターの島田由美子さん、サポーターの吉澤葵君(環境情報学部3年)、森﨑悠真君(文学部1年)、矢上キャンパス職員千村文彦さん、菖蒲健太君(理工学研究科修士課程2年)

支援を通した気付きが自分を成長させる

@easeサポーターは車椅子などの移動介助のほか、聞こえに困難のある学生のために講義の音声情報を文字通訳するPCテイクも行っています。また、情報保障(聞こえや見え方に困難がある方が必要とする情報を入手できるように支援すること)の一環として、講義などで使われる教材の電子データ化や、大学の式典やイベントなどの配信画面に字幕を付けることも@easeサポーターの役割です。

@easeサポーターによる9月入学式での文字通訳の様子(三田キャンパス西校舎ホールにて)

菖蒲君は「研修や介助などの活動を通してあらためて感じたのは、誰もが教育機会を平等に享受するために大切なのは、一人一人への配慮だということでした」とこの1年の活動を振り返ります。「当たり前のことですが全員が同じサポートを必要としているわけではありません。一人一人が求めていることを見極めることが本当の意味での『平等』につながるのです」(菖蒲君)

吉澤葵君(環境情報学部3年)は、2年生の授業で障害者支援を体験。その際に「障害のある人と関わることで、新しい気付きがあり、自分が成長できる」と感じたことがきっかけで@easeサポーターに志願しました。SFCで見え方に困難のある学生の移動介助をするうちに「最初は(障害のある人に対して)身構えてしまいましたが、研修や多くの人との関わりの中で、障害者ではなく『その人』として関わることができるように」なったそうです。

@easeサポーターに選ばれた学生は、安全で適切なサポートを行えるよう、ユニバーサルマナー検定やノートテイク・PCテイク講習会、その他支援に必要な講習会などに参加し、求められる実践的なスキルとマインドを身に付けます。吉澤君は学外の団体で差別や偏見をなくしたインクルーシブな社会実現を目指す活動にも参加しており、ゆくゆくはそうした経験を学部での研究にもつなげていきたいと話してくれました。

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日吉キャンパスで開催された「ユニバーサルマナー検定2級」の実技研修。高齢者、視覚障害、車椅子など、障害者の困難さや気持ちを自ら体験しながらサポートのスキルを学ぶ

「安心」できるキャンパスを一緒に創りたい

森﨑悠真君(文学部1年)は高校時代から車椅子生活を送っており、大学入学時よりキャンパス内の移動時などで@easeサポーターに付き添ってもらっていました。

「サポーターの方が『今日は時間があるから今後使うだろう教室を回っておこうか?』と声をかけてくださり、まだ行ったことのない教室を案内してくれたことが印象に残っています。(これから大学生活を始めるにあたって)安心しましたね」

「とにかくやってみたかったので、『私にもできますか?』と協生環境推進室に問い合わせると『大丈夫』と言ってくださり、それがとてもうれしくて、すぐに応募し、@easeサポーターに採用されました」(森﨑君)

コーディネーターの島田さんによると「@ease(at ease)」には「安心して」「気持ちが安らぐ」「落ち着く」などの意味があるそうです。「学生の皆さんと一緒に、誰もが安心でき、気持ちを落ち着かせることができるキャンパス環境を創り上げていきたいと思っています。サポーターの意欲と期待に十分応えられるよう、今後、私たちもプロジェクトの態勢をさらに充実させていきます」(島田さん)

後編」では、島田さんと今回お話をうかがった3名のサポーター、サポーターの介助を受ける矢上キャンパス職員千村文彦さんに、@easeプロジェクトの現在とこれからについて語り合っていただきます。

※記事中の所属、学年は掲載時のものです。