記者の日常 #007（塾生新聞会）

　文学部の受験生にとっての大きな関門である“小論文”。私は受験生の時、文章を書くことに苦手意識があり、小論文の過去問を解いていても何を書けば良いかわからず、頭が真っ白になってしまうことが多々ありました。そんな私が、塾生として、今この記事を書いている姿を、一年半前の自分が見たらたいそう驚くはずです。

　この記事を読んでいる受験生の中にも、小論文が苦手だと思っている方がいるかもしれません。そこで、私なりの小論文攻略法を一つ紹介しようと思います。それは、「どんなテーマが出題されても、自分の好きなことに結びつけて考えてみる」方法です。

　例えば、「『自由』について論ぜよ」と出題されたら、私の好きなクラシック音楽の観点から「自由な演奏」について述べてみる、という具合に。小論文を恐れていた頃の私は、自分に身近ではない具体例を挙げたり、思ってもいないことを想像したりして、無理矢理文章をつなげていたため、うまく話題を展開できていませんでした。しかし、「好きなこと」については、ある程度の知識や自分なりの考えを持っている分、書きやすくてオリジナリティを出しやすいのです。「好きなこと」のメガネを通して、出題されたテーマを見るようになってから、小論文に対するハードルがかなり下がったように思えます。ぜひ参考にしてみてください！

（写真：小論文　文学部の出題テーマ）

　私の中で、慶應に入って最も大きく変わったことは、「文章を読む・書く」ことの捉え方です。決して得意分野とは言えない、「文章を書く」活動が中心なことにとまどいを感じながらも、「取材を通して貴重な体験ができるかも」と思い、塾生新聞会に入ったことが、大きなきっかけでした。色々な方を取材し、記事を書いているうちに、文章を書くことの奥深さを身にしみて感じるようになりました。また、先輩や同期の記事を読んで圧倒され、「もっと表現力を身につけたい」と思うようになってからは、文章の読み方も大きく変わったように思えます。例えば、本に出てきた印象的な比喩表現や言葉づかいをメモして、何度も読み返すなど、工夫して読書を楽しんでいます。文章の読み書きに対する捉え方が大きく変化したのには、自分でもびっくりしています。

　大学生になって感じたことは、自分の興味の種はどこに転がっているかわからないということです。その種は、「見つけよう」と思ってもなかなか見つからないことがあるし、見つけようとしなくても、自然に降ってくることもあります。もし、新歓の時期に「新聞書くのはきっと向いていないからやめておこう」と思い、一歩踏み出していなかったら、今頃私は文章の読み書きの魅力に気づいていなかったと思います。

　大学では、「私、これ苦手だからやめておこう」と固定概念に縛られ、最初から諦めるのではなく、好奇心を忘れず、ちょっとやってみるか！と気軽に始めてみてはいかがでしょうか。

　好奇心と積極性を持って、自分から動く。そうすれば自ずと興味の幅が広がっていくはずです。