執筆者プロフィール
菊池 真以(きくち まい)
気象予報士空フォトグラファー法学部 卒業2007政
菊池 真以(きくち まい)
気象予報士空フォトグラファー法学部 卒業2007政
気象予報士になり、もうすぐ20年になります。紙をベースに何枚も天気図を解析していた時代から、PCでデータを見ることが多い時代に変わりました。今ではコンピュータが出す無数の予想を瞬時に簡単に比較することができ、扱うデータは大幅に増えています。
スマホで天気予報が確認でき、AIが発達した今、天気予報がTVやラジオで放送されるのはなぜだろう?時々、立ち止まって考えることがあります。
天気予報のコーナーで気象予報士が話をするときは、自分で予報をした上で、放送内容を組み立てるというのが基本です。番組のディレクターやアナウンサーなど周りの力も借りながら、その瞬間に伝える情報を決め、ポイントを絞っていきます。どんなに立派な食材を用意しても、調理方法によってはおいしくない料理になり、食卓に出すタイミングを間違えると、すっかり冷め切ってしまいます。同じく、どんなに素晴らしいデータや正確な予報でも、伝え方やタイミング次第では、必要とされない天気予報になります。一手間加えて、温かいうちに出された料理が最高! であるように、天気予報も表現の工夫や、情報が求められるタイミングで放送することが大切です。天気によって、人は何に困るのだろう、また何を必要に思うのだろうと熟考することは重要だと、経験を積むほどに実感します。
そして驚くかも知れませんが、現代においてもコンピュータの計算は外れることがよくあり、まだ人間の予報が入る余地はおおいにあるというのが事実です。自然を情報に変換しているのですから当たり前といえばそうなのかも知れません。
ところで、私は空フォトグラファーとしても仕事をしています。空の写真を撮っては、本の作成や、講演をします。空の色が夏で彩られたとき、秋を感じる雲を見つけたとき、空が変化する瞬間を大切にしながら、シャッターを押し、魅力を伝えたいと思っています。自然のキャンバスの美しさは無限で、全てを撮ることは到底できません。でも自らが変化に対してアンテナを高くすることで天気予報をより充実させたい気持ちがあります。そして、季節の光や空気の匂いを感じることは、この時代においても毎日を少し幸せにしてくれる時間なのだと感じています。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。