慶應義塾

人間と機械の関係性を物理によって親密に。無限の可能性を形にするための探求を続ける。

Profile

物理情報工学科(先端数物科学専攻 修士課程1年【※】)

東京都・芝高等学校出身

大会出場を目指してスキーに夢中になった高校時代。物理に興味を持ち、幅広い出会いを求めて慶應義塾大学理工学部に進学を決めました。学部時代はサークル活動にも打ち込み、多くの友人から刺激を受けながら勉強に没頭。現在はロボットなどに応用できる温度を再現する制御技術について研究しています。研究を世界に向けて発信するべく、留学や学会発表にも挑戦。精力的に活動してきた大学生活について伺いました。

【※】インタビュー時点(2026年6月)の在籍学年です。


総合大学だから叶う多様な出会いと、幅広いコミュニティづくり。

高校時代はどのように過ごしていましたか?

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中高一貫校に通っていて、中学・高校時代はスキー部に所属し、競技スキーに打ち込んでいました。関東大会出場を目標に、夏は陸上でトレーニングをして、冬はスキー場で山ごもり。高校2年の時に予選を通過して大会に出場できることになりましたが、コロナ禍で大会が中止になってしまったことは心残りです。部活引退後、高校3年の1年間は大学受験のための勉強に専念。男子校で理系の生徒が多かったこともあって、なんとなく理系を選んでいたのですが、勉強するうちに物理に興味を持ちました。物理はとてもシンプルなもので、世の中の現象の大半は方程式で表すことができる。そんな世界が綺麗で面白いなと思ったんです。

慶應義塾大学理工学部に進学を決めた理由を教えてください。

当初は国立の理系単科大学を目指していたのですが、単科大学よりも総合大学に進んだ方がいろんな出会いがあるのではと考えて、慶應義塾大学理工学部に決めました。父親が理系単科大学出身なのですが、「理系の人間が多いから気が合う人には出会いやすいけれど、総合大学にも行ってみたかったな」と言っていたのが印象的で。慶應義塾大学なら幅広い学部があって、他学部と同じキャンパスで過ごせる。理系だけにはとどまらない多種多様なバックグラウンドを持った人に出会えると思ったんです。入学後は実際に、他の進路では出会えなかったであろう友達がたくさんできました。

大学時代、勉強以外で夢中になったことはありますか?

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学部生時代はオリエンテーリングサークルに所属していました。スキーを続けるか迷ったのですが、大学は新しいことを始めるのに絶好のタイミングですし、新しいコミュニティを作りたいと思って。サークルの先輩の優しくフレンドリーな空気感に惹かれて入部しました。オリエンテーリングというのは地図とコンパスだけを使い、山の中を走ってスピードを競う競技。週末はほぼ毎週、車で栃木や静岡に遠征していましたね。実験レポートを週末に書けないので大変でしたが、空き時間にレポートの下準備をしておくなど、平日の時間をやりくりして、週末は競技を楽しめるように心がけていました。他学部の同期や先輩後輩とのつながりだけでなく、他の大学の知り合いも増えて、理工学部だけにとどまらないコミュニティが広がりました。

海外留学や、国際学会への参加も。挑戦を積極的に支援する環境。

物理情報工学科の特徴を教えてください。

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物理情報工学科は主に量子、物性、制御を扱っていて、幅広い知識が身につけられます。この3つは量子コンピューター、超電導技術、制御AIやロボットといった国が次世代に向けて産業化を推進している分野なのでビジネスチャンスもありますし、夢や世界が広がる学科だと思います。必修科目は比較的多いので大変ですが、いろんな研究室があって、いい意味でやりたいことが定まりません。
学部3年時には4学期制(クォータ制)【※】を導入していて、海外の大学で単位を取得することも可能です。僕も休学せずに留学することができました。
また、プレゼンテーション技法という学部4年の必修科目も学科ならでは。研究内容を他者に伝えるための技術も大切という観点から、スライドの作り方、プレゼンの構成の仕方や実用的なプレゼン技法を学ぶことができます。卒論発表や学会発表はもちろん、社会に出ても役立つスキルになると思います。物理情報工学科の教授はフレンドリーな方が多く、距離も近い。学科の学生の人数も多くないので、友達も作りやすかったです。

【※】4学期制…学部3年生のカリキュラムに4学期制を(クォータ制)導入し、各学期に、講義を1週間に2回開講し、集中講義形式で行います。

海外留学ではどんな経験をしましたか?

留学に興味を持ったきっかけは、学部1年の時に受けた伊藤公平塾長の授業です。「学問は世界共通のもの。日本だけではなく、世界を知ってこそ初めて学問を学んだことになる」という話を聞いて、留学って面白そうだなと思ったんです。いきなり長期留学するのはハードルが高かったので、学部3年の第2クォータと夏休みを使って、3ヶ月ほどUCLAに留学。夏休みの間に開講されるサマーセッションに参加して、現地の学生と一緒に材料力学と制御の2科目の授業を受けて単位を取りました。アメリカの学生たちは日本よりもやる気がみなぎっていて、すごく刺激を受けました。授業が終わったら先生に質問して、その後は図書館で勉強する。僕も誘ってもらって一緒に勉強していました。英語があまり得意ではないのでコミュニケーションは大変でしたが、もっと研究を頑張ろうと、研究に向き合う姿勢が変化したのは留学のおかげだと思います。

授業や実習、研究などで、思い出に残っているエピソードはありますか?

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国際学会で研究発表したことが心に残っています。学部4年生で国際学会に出られるなんて予想していなかったのですが、所属研究室の大澤専任講師が挑戦を後押ししてくれました。外部に向けて発表すること自体初めてで、英語での論文執筆や発表は大変でしたが、研究を頑張った総決算になりました。いろんな反応や質問をもらえたので、それを今後の研究につなげたいと思っています。今は、卒業までにもう一度、国際学会で発表することが目標です。
卒論優秀賞を受賞できたこともいい思い出です。年末も研究室にこもって同期と励ましあいながら実験を行い、卒論の細かい体裁や構成については先輩や指導教員がアドバイスしてくれました。研究を主体的にやっていることが評価されたのですが、これは自分で研究テーマを決めることができたから頑張れたんだと思います。大澤研究室の環境があってこそだと感謝しています。

手触りや温もりを制御によって再現。未来のロボットにつながる研究。

現在取り組んでいる研究について教えてください。

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所属している大澤研究室の研究ビジョンは、ロボット(機械)と人との関わりをより豊かにするための技術を発展させること。人が物に触れた時に、どうすれば自然な触覚や感覚が与えられるのかに着目した研究を行っています。ハプティクスと呼ばれる技術で、今注目を集めている分野です。その中で僕が取り組んでいるのは、限られた数のセンサーやヒーターだけで、空間全体の温度や揺れを狙い通りにコントロールする理論の構築です。例えば、触れた時の温かさや冷たさを再現するには、表面全体の温度分布を意図通りにつくる必要があります。そこで、どこにセンサーを置き、どう動かすべきかという共通の理論を、温度を題材にして検証しています。 基礎研究なので社会実装は先ですが、いつかは温度変化を体感できるVRや、人と同じように体温を持ったロボットの実現につながるはず。この理論は温度に限らずさまざまな現象に応用できるので、無限の可能性を秘めた研究だと感じています。

研究室を選んだ理由はなんですか?

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物の動きをコントロールする制御に関連した研究室に入りたいと思っていました。それにせっかく長い時間をかけて研究するのであれば、研究テーマは自分で決めたかった。大澤研究室はすでにある研究テーマを与えられるのではなく、やりたいことに対して指導教員からアドバイスを受けながら主体的にテーマを決めることができます。世界に発信できるくらい研究を頑張りたいと思っていたので、「学会に行ってほしい」と最初から後押ししてくれたことも決め手になりました。明確な上下関係がなく、とても和やかな研究室の雰囲気にも惹かれました。

今後の進路や目標について教えてください。

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進路についてはまだ模索中で、博士課程への進学も視野に入れながら、就職活動を通じて納得できる道を探しています。 将来は、自ら研究開発を行うだけでなく、新しい科学技術やイノベーションを社会に届ける「応援役」のような仕事にも興味があります。先進的なテクノロジーを社会に実装していくためには、技術そのものだけでなく、多角的な支援やアプローチが必要です。理工学部で培った専門知識や物事の捉え方は、メーカーに限らず多様な業界で活かせるはず。業種を一つに絞り込まず、広い視野で自分の可能性を試していきたいです。

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