慶應義塾やハーバードに学んだ槇文彦(1928-)は、独立以来、世界的に活躍しているモダニズム建築家です。彼の建築は、近代的な造形だけでなく、建物を取り巻く環境を深く理解した上で設計する点を特徴としています。
本展では槇文彦による慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に焦点を当てます。他のキャンパスとは異なり、SFCではキャンパス建設当初から槇が一貫して関わり、建築物やその配置などグランドデザインを手がけました。ここで槇はかねてより提唱していた「群造形」を、より大きな規模で実現する機会を得たのです。個別の建物とそれをつなぐ関係性を重視した「群造形」を手掛かりに、槇がSFCという場で何を目指したのかを考えます。