このたび、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の宮本健史(先進運動器疾患治療学寄附講座特任准教授)らは、自律神経である迷走神経が骨量を減らす作用があること、また、タバコの成分であるニコチンが骨量を減らす作用を有することを、マウスを用いた実験によって世界で初めて明らかにしました。
迷走神経は副交感神経系の自律神経ですが、今回の研究では、この迷走神経の活性が実験マウスで破骨細胞を15%程度増加させ、骨の量を減らすことも明らかになりました。
ニコチンは喫煙で摂取されるタバコの成分で、生体に関与するさまざまな性質を有することが知られています。喫煙が骨粗鬆症の誘引になることが古くから知られていましたが、そのメカニズムは明らかではありませんでした。今回の研究では、ニコチンが骨を吸収する破骨細胞を増加させ、骨の量を減らす作用があることを明らかにしました。
このことは、骨粗鬆症患者数および骨粗鬆症を基礎疾患とした骨折患者数が増大し続けている今日、骨を骨折から守るための骨マネージメントにとって重要な発見と考えられます。
この研究成果は2017年3月28日、学際的総合ジャーナルScientific Reports誌に掲載されました。
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