慶應義塾

紡がれてゆく塾生の血筋。 新たな社会を先導する卒業生たち

農林水産省に入省し、飼料中のかび毒の基準値などの設定を担当。3年目に環境省へ出向し、現在は閉鎖性海域の環境管理に関する制度見直しに従事。慶應での研究生活で得た科学に基づいて考える力を生かし、食の安全や環境保全のためのルール作りに取り組んでいます。

登場者プロフィール

  • 柴﨑 智香子君

    薬学部 薬学科卒業(2017年)薬学研究科 薬学専攻修了(2021年)

    柴﨑 智香子君

    薬学部 薬学科卒業(2017年)薬学研究科 薬学専攻修了(2021年)

支えられた研究の日々が、 社会に還元されるまで

慶應義塾での10年間のうち、特に大学院に進学してからは、研究に没頭する日々を過ごしました。学部5年次の実務実習で、薬の副作用に苦しむ患者さんと出会い、本来は人の役に立つはずの薬が、逆に害をもたらしてしまう現実に直面。その経験から「少しでも副作用を減らしたい」と考え、大江知之先生のもとで、安全な医薬品の開発に必要な新たなトラッピング剤の研究に取り組み始めました。

とはいえ、研究生活は順調ではなく、化合物の合成に何度も失敗し、「本当にできるのか」と気持ちが折れかけたこともありました。それでも先生のサポートのおかげで開発に成功し、論文として成果を発表。卒業後には試薬会社から声がかかり、市販化まで実現しました。自分の研究が、安全な創薬の現場で少しでも役立っていると考えると、大変うれしく思います。

手厚い教育と支援が、入学前は想像もできなかった高みに連れて行ってくれたと語ります

当時は本当に恵まれた研究環境を与えていただいていたと、今改めて感じます。まず「研究のすゝめ奨学金」のおかげで経済的な不安なく研究に専念することができました。また、研究費の援助も大きな支えでした。合成に必要な試薬は学生が気軽に購入できるものではありませんが、支援のおかげでやりたいことをすべてやり切り、成果を出すことができました。

当時はそこまで意識できていませんでしたが、社会人になり、寄付の案内が届くようになって、これらの支援が多くの寄付者の方々によって成り立っていたことに気づきました。その支えがあったからこそ、研究に集中でき、成果を通じて社会に貢献できました。そう考えると、学生のうちにもっと感謝の気持ちを持つべきでしたし、今からでも、いただいた支援を何らかの形で返していきたいと考えています。

大江先生のサポートや、ディスカッションの経験が、省庁で働く現在にも生かされています