3月1日、SFC研究所xSDG・ラボは、国際連合大学との共催シンポジウム「GSDR 2023とSDGs-2030アジェンダ後半のビジネス変革に向けて」を開催しました。国連大学ウ・タント国際会議場にて日英同時通訳付きで行われたシンポジウムでは、持続可能な開発に関するグローバル・レポート(GSDR)2023が提供する洞察について掘り下げ、SDGsの達成に向けた企業の役割について活発な議論が交わされました。
シンポジウムは、xSDG・ラボ代表の蟹江憲史政策・メディア研究科教授と日下部英紀外務省国際協力審議官による開会挨拶にはじまり、国際連合大学学長、国際連合事務次長のチリツィ・マルワラ教授が人工知能(AI)とその持続可能な開発への影響について講演しました。その後、蟹江教授がGSDR2023に関する基調講演を行いました。蟹江教授は講演の中で、SDGs達成に向けた取組みは大幅に遅れていること、2030年に向け折り返し地点を迎えた今こそ、S字カーブ実現を念頭に変革へ向けた努力を加速させていくべきと解説しました。
パネルディスカッションは国谷裕子政策・メディア研究科特別招聘教授をモデレーターに日本の著名なビジネスリーダーが参加し、経営目標とESGの関連性、特に事業の成長と社会課題の解決をどう両立していくかについて議論しました。日本航空株式会社の青木紀将氏、トヨタ自動車株式会社の大塚友美氏、シティグループ証券株式会社の藏原文秋氏、株式会社リコーの鈴木美佳子氏が、それぞれの組織のSDGsに関する事例をあげながら、さらなる変革に向け今後どのように貢献していくかについて洞察を共有しました。
シンポジウムの終了にあたり、マルワラ学長は総括としてSDGs達成に向けてのファイナンスギャップが増加したことに触れ、大きなゲームチェンジャーが必要であることをあらためて強調しました。
このシンポジウムは、持続可能な開発に向けた新たなビジネスの枠組みを構築するための貴重な機会となりました。今後も、ビジネスリーダーを中心にSDGsを具体的な行動に反映させるための取り組みをさらに推進していくことが期待されます。