慶應義塾

海外大学院で活躍する Keio University Global Fellow 2023からの報告

公開日:2023.12.04
広報室

2023/12/04

慶應義塾は「石井・石橋基金 慶應義塾教育研究発展事業」の一環で、私費留学に対する助成事業「慶應義塾大学グローバルフェローシップ(私費留学助成)」を行っています。

これは、本学の学部または大学院を卒業・修了し、海外の大学院に学位取得を目的として進学する学生を慶應義塾が応援する制度です。

選考は、留学目的、学修・研究計画、学業成績等をもとに行われ、"Keio University Global Fellow"として採用された学生には、留学にかかる学費・生活費等として最大500万円が支給されます。慶應義塾が進めるスーパーグローバル事業の核となる重点領域(長寿、安全、創造)を念頭に、世界を舞台に活躍できる人材をこれまで以上に国際社会に輩出していくため、海外の大学院への進学にチャレンジする優秀な学生をサポートしています。

以下は、"Keio University Global Fellow 2023"に選ばれた3名による留学先からの報告です。

小林 亜伽里君

文学研究科 在籍

留学先:オックスフォード大学(英国)

私は2023年度の10月より英国、オックスフォード大学の博士課程で、西洋中世文学を研究しています。博士論文のテーマは、中世イギリスおよびフランス文学における西洋古典文学の受容で、具体的には14世紀フランスで著された、古代ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』の翻案作品『道徳化されたオウィディウス( Ovide Moralisé)』が、中世後期のイングランドとフランスで活動していた様々な作家たちの作品にどのような影響を与えたのかについて、ジェンダーの視点に着目しながら研究しています。

中世ヨーロッパ文学研究の世界的な中心地であるオックスフォード大学では、分野を牽引する教授陣からの指導や、大学付属のボドリアン図書館の豊かな中世写本のコレクションへのアクセスなど大変充実した研究環境に恵まれ、世界中から集まった優秀な学生たちに囲まれながら、日々知的に刺激的な生活を送っています。この留学を可能にしてくださったグローバルフェローシップの寛大な助成に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

Balliol Collegeの図書館。この建物の中で毎日友人たちと勉強しています。
博士課程の入学式、ラドクリフ・カメラ前にて(左から四番目)
私が所属するBalliol Collegeのダイニングホール
毎週火曜日のフォーマルディナーにて友人と

宮﨑将君

法学部 卒業(2023年3月)

留学先:スタンフォード大学(米国)

私はスタンフォード大学経営大学院にて、Political EconomicsでのPh.D.取得を目指し、Predoctoral Research Fellow(プレドク)として学んでおります。統計学や経済学の分析手法を応用した、選挙と投票制度の実証分析に研究関心があります。

現在はAndrew Hall先生の指導のもと、Web3のガバナンスシステムの研究をしています。具体的にはブロックチェーン上のDAO(仮想通貨の運営などをする分散型自立組織)の意思決定に使われるVoting(投票)やその権利のDelegation(委任)のデータの収集と分析をしています。流行語を並べたような研究プロジェクトにみえますが、実はPolitical Representation(政治的代表)という古代より続く民主主義研究の一部であり、また普通部・塾高・大学を通して学んできた「サイヤンス」としての実学の延長です。

慶應義塾の教育と支援により私の留学が実現されました。心より感謝申し上げます。将来は慶應義塾と社会に貢献できる研究者となれるよう勉学に励みます。

今夏は渡米後に2つの学会(American Political Science Association・Society of Political Methodology)にて研究成果の報告をしました。また、計量社会科学の分析手法を巡り、異なる主張を持つスター研究者が議論を重ねる研究のフロンティアも目の当たりにしました。本奨学金を活用し学会に積極的に参加出来ています。
2年間のプレドクでの成果でPh.D.課程への進学が審査されます。同期はある意味ではライバルですが、それ以上に皆で協力し切磋琢磨する良き友人です。
ビジネススクールですが、経済学の学術研究も充実し複数のノーベル賞受賞者も所属しています。また、GSBだけでなく経済学部や統計学部のセミナーにも出席しています。広大なキャンパス内の移動には自転車が欠かせません。

吉新 主道君

環境情報学部 卒業(2023年9月)

留学先:カリフォルニア大学バークレー校(米国)

私は、米国カリフォルニア大学バークレー校のDevelopment Engineering(開発工学)修士課程に在籍しております。大学院では、工学的な専門性を核としつつ、脆弱な発展途上国や資源に乏しい地域において、持続可能な国際開発プロジェクトを計画、そして実施するための実践的知識を学び深めています。特に、滞在経験のある大洋州島嶼国やアフリカ諸国における再生可能エネルギー、災害リスク削減、気候変動対策、地政学が、私の主な研究テーマです。

今学期に取り組んでいるプロジェクトの一つでは、アフリカ西部に位置するナイジェリア国を対象として「農村コミュニティのエンパワーメントを目的とした太陽光式灌漑システムの設計とその政策立案」に、多様な国際性・専門性を持つクラスメートと共に、現地で活動している国際NGOと協働で取り組んでいます。

本フェローシップは、現在の極めて不安定な世界情勢や、あらゆる分野で将来が不確かな社会情勢の中にあっても、私にとって、海外で確実な研究の継続を可能にして頂ける力強い支えとなっています。心より深く感謝しお礼申し上げます。

UCバークレーを象徴するSather Tower とDoe Library
Doe Library内部
在籍プログラムの建物Blum Centerの前にて

※「石井・石橋基金 慶應義塾教育研究発展事業 慶應義塾大学グローバルフェローシップ(私費留学助成)」の新規募集は、"Keio University Global Fellow 2023"で最後となります。今後、新規募集は行いません。

(本事業事務局:塾長室企画担当)

(参考)